2012年06月18日
カウンターテニス攻略法
カウンターテニスについてちょっと前に書いたが、その補足説明をしたいので再度取り上げた。このスタイルのテニスに勝つには次の3つの事項の理解が必要である。1、相手のミスを増やして勝つ事を目的にした、とてもネガティブで特殊なテニスである。2、自分の凡ミスをなるべく避ける。3、カウンターテニスをするプレイヤーのミスを増やすのが1番効果的な対処法である。(補足したいのは以下のとおり。)
まず1だが、サンチェスやヒューイットが4大大会で優勝できたのは、このテニススタイルをやる選手が他にいなかったからだ。つまりこのやり方に引っかかる(対処できずに負ける)選手がたくさんいた、という事実だ。テクニックで上回る選手でも、このスタイルの仕組みが分からないと勝てない。現にフェデラーも2003年まではヒューイットになかなか勝てなかった。知らないという事はとても恐いのだ。
2は非常に重要だ。何故なら、このスタイルをするプレイヤーを倒すのに必須の条件だからで、もしアンフォースドエラーの数がカウンタープレイヤーより多い状況ではまず勝てない。しかし、それを意識して対戦する選手はそう多くはなかった。2005年の全豪で決勝に進んだヒューイットに対してそれが出来たのは、ファン・イグナシオ・チェラぐらいで、翌年の全豪でヒューイットに勝ったのがその証拠だと言えるだろう。
最後の3は実例を挙げよう。昨年のウインブルドン男子決勝で(というか、シーズンを通じて)ジョコビッチがナダルに勝てたのは、ナダルがミスしやすいパターンをジョコビッチが巧みについたからだ。ミスをなるべくしないように意識しているカウンタープレイヤーには、そのミスをさせるのが1番いい対策なのだ。(ナダルのテニスが一見カウンターテニスに見えないのは、切り返しや攻撃のバリエーションが豊富、かつボールのスピードがあるせいで、それが1種のカムフラージュになっているからだろう。)ナダルのミスが多いのが、片手打ちのフォアハンドから両手打ちのバックハンドに切り替えるタイミングの際(またはその逆)のショットだと気付いたジョコビッチが執拗にナダルのバックサイド、次にフォアサイド、またバックサイドと配球しているのがわかる。そしてウィナーショットも低くもなければ浮いた球でもない、なんとも中途半端な高さのボールがナダルがミスしやすいと判って打っているのだ。もちろん、凡ミスをしない事や、サーブ等でシンプルにポイントを取るのもちゃんとやっていた。ここからは余談だが、ナダルはテンポの早いラリーが苦手だと思う。フェデラーに唯一負けるのが、インドア・カーペットの大会だからで、案外クルム伊達の使うライジング・ショットが有効かも知れない。
ナダルのテニスがカウンターテニスだと思っているのは私一人なので、仮説の1つにしておく。信じる、信じないは貴方次第だ。ただ、フェデラーはその事に気付いているのだろうか?
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