2012年06月05日
ある国の奇病
アジア極東の小さな国で奇病が流行っている。その患者が増えるのが決まって1月の中旬と、5月、6月、8月の下旬に集中するそうだ。最初はうつの症状と似ており、やる気が出ないなど無力感を訴えるが、2、3日すると神経質になり「だからこの国は遅れているんだ。」とか「俺の見たいのはこんなマイナー球技じゃねえ。」などと言って怒りやすくなる。別に死ぬようなひどい病気ではないのだが、患者にとっては発病してから2週間ぐらいはひどく気がめいるという。
どうも原因はその国であるスポーツがテレビで見られない事にあるらしい。で、比較的症状の軽い者はそのスポーツの中継を見せると症状が落ち着くが、録画では効果が無くライブでないとダメなのは共通している。ただ重症の患者は外国の頭文字がEで始まる局の中継しか受けつけず、「NBCはセミファイナルが録画なんだよな。」などと悪態をついたりで対応が難しい面も度々あるようだ。
ある重症患者がこんな事を言っていた。「この国のスポーツ中継は全然つまらねえ。どいつもこいつも勝ち負けばかり気にして肝心の「スポーツの面白さ」を伝えるのを忘れていやがる。だからいつまで経っても決まりきったスポーツばかり取り上げて、こんなに面白いスポーツが見られねえのさ。」
不思議な事にアメリカやヨーロッパからはこの奇病の患者の報告例が未だ1件もないという。