2012年06月14日
スポーツ観を決めるもの
全仏が終了し、話題がウインブルドンへと移行する今頃がこの国での一番のテニスシーズンだろう。グランドスラム大会が短い間隔で2つあるのが何よりうれしい。たとえ深夜の録画中継でも誰もが見られるのが大事で、できればテニスに興味がない人にも見て欲しい。「キング・オブ・スポーツ」と呼ばれたのは遥か昔だが、その面白さは健在だ。別にプレイしなくてもいい。好きなスポーツがたくさんある方が人生が楽しくなるのだから。
さて今回は、その「好きなスポーツはどのように決まるか」を書く。「日本人は野球好き」みたいな言われ方をするが、本当だろうか。世界的に見ても真面目にやっている国の方が珍しいこの球技が、まがりなりにもトップ扱いなのは、人気があるからというより、「タダのテレビでたくさん見られるから」が理由だと思う。シーズン中はどこかしらのチャンネルでやっているし、春と夏には高校野球というのもある。なぜこんなに野球ばかりかと言うと、日本のテレビにとって「日本人が活躍できるスポーツ=良いスポーツ」で、「日本人が活躍できないスポーツは対象外」だから、に他ならない。要するに自分達にとって都合のいいスポーツしか取り上げないのだ。日本人が活躍できるか否かという狭い尺度でしかスポーツを判断せず、それに基づく優先順位を付けたがる。正に彼らの利益に見合った価値観の押し付けで、そのことが日本人のスポーツ観をつまらなくしている。
テニスやバドミントンはタダのテレビで取り上げられる頻度が極端に少なく、放送自体も録画が多い。(そういった球技は主にペイチャンネルでやっているが、いわゆるタダのテレビからの締め出しである)予めひどい格差をつけておきながら、人気もなにもないだろう。いっその事、野球はCSだけでやればいい。本当に人気があるかどうかはすぐに分かる。日本人の活躍はもちろんうれしいが、それがないから切り捨てるのは大きな間違いだ。特定のスポーツばかりではいいかげん飽きるし、好きなスポーツを何も一つに決める必要など始めからない。
日本のケータイがガラパゴスなのは仕方ないが、スポーツだけは願い下げだ。