2013年06月10日
間違ったフィードバック
全仏が終わった。誰もが優勝するであろう、と思った大本命二人にトロフィーは渡った。気まぐれなローランギャロスの女神も、ことハプニングだけは大嫌いなようだ。
ストリーム中継でマトモに見たのは男子SF1と女子Fだけである。2年連続の決勝でシャラポワは、いつもとは違う高いボールで最初の2ゲームを取ったのに、3ゲーム目を取れなかっただけで使うのを止めた。低くて早いボールと併用すればもっと効果的に使えたのに、慣れ親しんだいつものやり方に戻してしまった。対戦相手に効果がある、あるいは嫌がる戦術を徹底しなければセリーナのような苦手に勝つことは難しい。たとえ付け焼刃でも、最後までやり通す勇気が欲しかった。
ジョコビッチは昨年に比べればずっと善戦したが、クレーキングのナダルを倒すには至らなかった。敗因を分かりやすい3セット目だと彼は指摘したが、本当は1セット目だろう。長期戦を想定したためか積極的に攻めずに、結局1ブレイクで失ったのがナダルに余裕を与えた。中途半端な高さのボールや徹底したバック狙いも、フォアとバックの切り替え時のミス待ちも、5セットにもつれる事もみんなナダルにとっては想定内だった。結果的には全豪の再現を狙ったジョコビッチの思惑通りに試合は進んだのだが、天然カウンターテニス(ナダルは意識的にカウンターテニスをしているのではなく、彼が勝つ為によりベターなテニスを模索した結果、自然にそれを身につけた)プレイヤーに我慢比べを挑んだ時点で負けである。全豪でジョコビッチが勝ったのは、その我慢比べにかかった膨大な時間と、それを実現させた不屈の精神力とがナダルの想定を越えていただけなのだ。
もうナダルに勝てる選手は出てこないのだろうか?この究極の進化形カウンターテニスに勝つのは難しいが、やってできない事はない。ナダルの想定外の何かを見つければいいのだ。(お断り:ナダルのテニスがカウンターテニスだと思っているのはワタシだけなので、信じなくても結構です。念のため。)
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