2012年09月02日
必勝!?デルポトロ戦法
錦織が敗れた。相性が良いと思われたチリッチ相手に1セット取るのが精一杯で、ほぼ完敗に近い。明らかにこれまでとは違う試合内容だが、それはなぜか?今回の対戦でチリッチはあるプレイヤーの錦織攻略法を自分のプレイに取り入れていた。シードがついた現在の錦織を持ってしても、どうしても勝てないトップ10プレイヤーのデルポトロである。彼と同様に長身でビッグサーバーのチリッチにしてみれば、至極当然だろう。この「デルポトロ戦法(仮)」にいく前に、錦織がアップセットしたトップ10プレイヤーを見てみよう。同じ全米で勝ったフェレール、以前のブレイクやインドアでのジョコビッチなどだが、共通の特徴がある。ベースラインで同じペースのボールを打つプレイヤーである。このスタイルのプレイヤーに錦織は強い。逆を言えば錦織攻略の鍵は、同じスピードや高さのボールを続けて打たない事だ。緩急をつけるのが1番いい。チリッチもベースライン付近で高くはねるボールを意識的に入れて、錦織にハードヒットされないようにしていた。もう一つの効果的な戦術はアングルの多用である。器用そうな錦織があまり上手く対応できないのがアングルショットで、サイドラインから外に逃げていくボールがフォア、バックサイド共に苦手に見える。このショットでオープンコートをつくってからダウン・ザ・ライン(ストレート)のウィナーを取るパターンも度々あった。勿論サーブも同じ狙いだ。
今回の敗戦の意味は大きい。「デルポトロ戦法(仮)」が錦織に有効な事がハッキリ証明されたからだ。もしチリッチ以外のプレイヤーもこのやり方をやってきたら、錦織のサクセスストーリーはすぐに終わるかも知れない。そうならない為には対応策が急務だが、「天才型プレイヤーはフィードバックが苦手」なのは錦織も同じらしい。今、1番の岐路に彼は立たされている。トップ20台が最高でキャリアを終えるか、それともトップ10に食い込む世界的な選手にまで登りつめるかのどちらかだ。ピンチの時にブレイクスルーのいいアイデアを思いつくのも、超一流プレイヤーになる為に必要な条件と言えるだろう。
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